FXブローカーと銀行の損失

今回のスイスフランの暴騰事件で、世界中で、1兆円以上の損失がでているのではと想定されています。スイスフラン関連で、CFTCの上場デリバティブ関連のスイスフラン取引だけでも、35億ドル相当のスイスフラン売りポジションがあったようです。相対取引は、CFTCの上場取引よりも10倍程度あると言われているので、世界中に4兆円近いスイスフラン売ポジションがあった可能性があります。4兆円x30%(為替の最大変動率)=1.2兆円程度の損失が世界中で発生しているとも想定できます。

特に欧米では、スイス中銀(SNB)の対ユーロ上限設定を信頼して、ユーロスイスフラン(ユーロ買い、スイスフラン売り)のポジションが積み上がっていたようです。5分間くらいで、このポジションの買い戻しが入りスイスフランが急騰しているので、スイスフラン売りのポジションをヘッジする方法もなかったと想定されます。

今回の為替ブローカーアルパリUKの即時破綻も、アメリカのFXCMどころの損失(250億円程度)ではなく、相当な金額(千億円単位の損失)でのロスを被ったということでしょう。1995年1月の阪神淡路大震災を主因として、日経平均先物の買いポジションで破綻した英国の名門証券会社ベアリング社を思い起こさせるような事件です。

海外のFX業者では、レバレッジ100倍で、追証なしという取引が一般化していたので、証拠金以上に損失が発生した場合には、業者が負担セざるを得ないケースが大半と考えられます。これからしばらくは、海外業者の破綻のようなニュースが増えることにも気を配っておく必要がありそうです。

日本においては、レバレッジ規制と証拠金の信託保全があることやスイスフラン関連の取引量が少なく、影響は軽微にとどまっています。但し、親会社が欧米系のFX会社については、引き続き注意を要する状況にあるのは間違いありません。あと、財務基盤の弱い日系のFX会社も要注意です。

過去、MFグローバルが破綻して、彼らの日本の現地法人(MF Global FXA証券)も営業を停止した例がありますが、信託保全によって、大半の投資家の資金は、守られたようです。もちろん、投資家のポジションは、破綻確定時点で、強制決済されるので、その損益は仕方がありません。

このようなテールリスク(統計上はほとんど発生することがないリスク)がもたらす事件は、事件が発生してから、最低でも1ヶ月くらいの間は、金融市場への影響があると考えられます。また、為替ブローカーに、為替取引の多くを取り次いでいる英系の銀行への影響もかなり大きいものと思われます。今後この事件の影響が、大きく広がる可能性も考慮しながらの株式(ないしは、FX取引)をせざるを得ない状況にあることは間違いなさそうです。